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六本木から東京タワー方面に向かう麻布飯倉交差点に建つ建築である。 今話題の東京ミッドタウンからロシア大使館を通り過ぎ、東京タワーに向かって走るとなだらかな下り坂の先に外装の特徴的な建築が見えてくる。孤高の建築家・白井晟一の基本構想に基づき、設計・施工を竹中工務店が担当した1974年竣工の賃貸ビル「ノア・ビル」である。 神谷町方面から見上げると、斫り煉瓦積みを基壇に見立て、楕円形の平面を設計された外装を黒光りするブロンズシャフトで覆い基壇部分と対比させているのが分かる。一度見たら忘れられないようなインパクトのある建築である。 後方に見える部分は機械室及び階段室で楕円形平面の背後に添えられている。各階の内装は入居するテナントに任されており、33年前の竣工でも今流行のスケルトン・インフィルの先端だったのである。中間部分に設けられた開口部以外は昼間だと分かりにくいが、オフィスの照明が分かる夜間には点在する開口部から漏れる光が何とも言えない建築である。 白井晟一は1905年京都に生まれ、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)建築科を卒業している。5歳の時に寺に預けられて作法や書などの修行を受けており、書道家としても有名で作家・川端康成らと共に書展を開催したりしている。1930年に渡独しハイデルベルク大学及びベルリン大学で近世ドイツ哲学とゴシック建築を学び帰国。実作としては40作品に満たないが、その建築の密度の濃さを見れば納得するのではないだろうか?学生時代(現在また学生中)に彰国社の「木造の詳細3住宅編ディテール別冊」を購入して「呉羽の舎」の図面集を読み込んだが、編集後記のコメントとして白井晟一が笑顔で語ったと言われる「学生がこの図面を見れば、建築家になることを断念するのではないか」の言葉が強烈な印象として残っている。代表作品は「秋ノ宮村役場」「松井田町役場」「善照寺本堂」「壊霄館」「親和銀行本店」「聖キアラ館」「尻別山寮」「虚白庵」「石水館」「渋谷区立松涛美術館」など、どの作品も濃密な建築である。 人気ブログランキングへ |
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