横須賀美術館~山本理顕の建築

国道16号線の海岸線を観音崎方向へ車を走らせると正面に観音崎灯台が見えてくる。

「横須賀美術館」は東京湾の海と灯台に気を取られていると見過してしまいそうな場所にボリュームを抑える為、建物の半分を地下に埋め込み建っていた。眼前に海、背後に観音崎公園の緑を抱えた地下2階地上2階建ての美術館である。

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北側の海(東京湾)に向けて美術館アプローチ、ワークショップ室、レストラン前に広がるテラスに架かる軽やかな庇である。鉄骨ルーバー自体に剛性を持たせる事で細い円柱で補助的に支える。円柱はあくまでも風による跳上げ止めである。

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美術館は観音崎公園の森をバックに緩やかな北側斜面の敷地に建っている。高麗芝が全面に張り込まれた広場と称する前庭は背景の森を生かす為、シンプルに造られている。2007年4月の完成から6年目を迎え、芝も馴染んでいる。

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手前左手が地下1,2階駐車場へ続くスロープであり、アプローチとしては長めだが緩やかに上昇するスロープが全面テラスへ続き美術館エントランスへと導く。スロープと並行するガラスの直方体は独立した常設展示の谷内六郎館である。

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テラス前にイタリアンレストランが最初に現れミュージアムショップ、ワークショップが続き、美術館にはミュージアムショップからブリッジが架けられたエントランスホールへ繋がっている。ブリッジからは地下2階の常設ギャラリーが見渡せる。

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東西におよそ100m続く北側テラスの西方向を見る。イタリアンレストランは賑わい東京湾を見ながらオープンエアーで食事をすることも可能である。美術館へのアプローチは連続するガラス面からは分り難い様で戸惑う来館者も見られた。

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レストランの脇からは奥へ拡がる美術館が敷地の起伏に無理無く合わせる様に建つ様子が分る。左側には緩やかな上り遊歩道があり美術館の裏庭的な広場へと続き、ブリッジを渡りグレーチング仕上の屋上広場から東京湾を一望出来る。

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左手が常設展示の谷内六郎館、右手が地下駐車場へ繋がるエレベーターホールとレストルーム棟である。谷戸状に三方を山に囲まれた敷地に建築物の半分を地下へ埋込む事で高さを抑える事で周辺環境と一体化を図っている様である。

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テラスの西側からの見返しである。他の美術館では味わえないこの開かれた空間は、海側を走る国道16号線に平行に設けられ、美術館へでもレストランへでも広く来訪者を迎え入れる開かれた曖昧さを感じる場を提供している様である。

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北側の広場から美術館方向を見上げると展示環境と海からの塩害に配慮されたガラスと鉄板のダブルスキンの構造が見える。最長スパン18mの屋根面を支える構造は鉄板と斜め格子梁と呼ばれるトラス架構で平面剛性を確保している。

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美術館エントランスへ続くミュージアムショップからテラス方向を見る。レストランやワークショップからも同じ様に目の前の東京湾から空気の澄切った日には対岸の房総半島をガラス越しに望む事が出来る。境界の無い曖昧な空間である。

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建築物の足元を見ると鉄骨とガラスの雨仕舞いの厳しい収まりを見る事が出来る。築6年目を迎え様とする建築物にもアスファルト舗装のスリットから見える鉄骨の足元には早くも錆が出始め、ガラスを抑えるコーキングも劣化が見られる。

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この美術館の維持管理には相当な費用が掛かりそうである。一般的な外部鉄骨部分の塗装修繕周期は10年であるが、立地条件を考慮すれば少し早まるだろう。日本建築学会賞を1998年に受賞した「マルチメディア工房」の二の舞だけは避けて欲しいところである。
2002年3月に全国初のQBS(Qualification Based Selection:資質評価)方式を採用し、設計者選定が行われた。設計者と運営者である横須賀市の職員や美術館開設準備室を交え設計が進められて行った。

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