土門拳記念館(外部編)~谷口吉生の建築

写真家・土門拳の作品約7万点の寄贈を受け、写真のみを展示する美術館として竣工し、1983年10月に開館した「土門拳記念館」である。


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敷地はJR酒田駅から車で日本海へ向かって走り、最上川に架かる出羽大橋を渡り左折し10分程で着く飯森山文化公園内にある。木々に覆われた緑豊かな飯森山と冬には野鳥も飛来する人工池に挟まれ、静かな環境の中にひっそりと「土門拳記念館」は佇んでいた。

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バス停や駐車場から記念館を目指して進むと正式名称である「酒田市写真展示館」の正面銘板を目にする。右手の階段を上り左手に折れるとアプローチ広場からエントランスへと入る。左奥の柱に支えられ直方体が載りガラスに囲まれた突出部分は土門拳記念室である。

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外壁はコンクリート打放しの上、アクリルカラークリヤー塗装と花崗岩JP仕上げで分けられている。極端な意匠を削ぎ落された端正な表情の建築は横幅を広く、高さを低く抑えられて飯森山の木々や人工池等と周辺の自然環境に配慮されて溶け込む様に存在している。

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コンクリート打ち放しの二枚の壁と二本の正直方形に挟まれた花崗岩で仕上げられた外壁の違いが分かる「土門拳記念室」の正面である。右の壁を刳り貫かれた開口部は閉ざされた展示空間から中庭と池を左手に見ながら人工池に下る回廊を歩き辿り着く空間がある。

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人工池側に建つ壁と記念館に挟まれたアプローチ空間である。壁は人工池を一時遮断する結界となり、意匠を削ぎ落された無機質なアプローチ空間は記念館のエントランスへ続く場を造り、土門拳の作品や企画展の作品が展示され鑑賞する場へと導かれる動線である。

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アプローチの見返し、庇部分が入口である。庇とサインが無ければ記念館の入口とは分からない程のさり気なさであり、壁に刳り貫かれて連続する幅の異なる開口部が唯一の意匠となっている。結界となる壁面は冬場の地域特有の強風から記念館を守る装置でもある。

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人工池を周回できる石の壁面に設置された階段を上ると記念館に設けられた池と中庭を見下ろす事が出来る。水が連段を流れ落ちる池と、左手の壁に刳り貫かれた幅と高さが下降する程に大きくなる窓から敷地の地形を熟考し高低差を生かした計画である事が見えてくる。

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イサム・ノグチによる彫刻「土門さん」が置かれた池と中庭からエントランス方向を見返す。鉄筋コンクリート造の壁に均整の取れた開口部が連続し、周囲の自然林に配慮して高さが抑えられた記念館は自然環境に恵まれた公園内に置かれた様に建てられていた。

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