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ニースから列車に乗り地中海を眺めながらモナコを通り過ぎ、トンネルを抜けるとカップ・マルタン・ロックブルニュ駅に着く。プロムナード「ル・コルビュジェ」を歩くと15分ほどで辿り着いた。 木立に囲まれ、海岸線の景色に気を取られていると見過ごしてしまうような、一段下がった敷地に休暇小屋は建っている。Uターンするように石の階段を下りようとすると、2mx4mの仕事部屋が見える。階段を下りると、目の前には陽の光に照らされた穏やかな地中海が広がる。 仕事部屋の扉を開くと板張りの室内が海に面した窓から入る光に照らされていた。訪れた日は1月にも拘らず半袖でも過ごせるほどの陽気で、風も無く穏やかな日だった。この部屋で新たな仕事と闘っていたのだろう。 休暇小屋からの地中海の眺めは時を忘れさせてくれる。遊歩道下に位置しているので、波の音と崖上の時間ごとに通過する列車の音しか聞こえない場所で、誰からも干渉されずに、時を忘れて過ごすことが出来るのである。 休暇小屋の扉を開くと左の壁にコルビュジェが描いたフレスコ画を見ることが出来る。壁の中にはバー・レストラン「ひとで軒」へ通じる扉があり、この扉を開いて、休暇を過ごす仲間たちとテラスで時を過ごしていたのだろうか? ここにコルビュジェのサイン「LC、31,7,56」が書かれている。1956年7月31日にル・コルビュジェは、このフレスコ画を修正しており、壁画が仕上げられた日付(1952年8月10日)はX印の下に書かれている。 平面は正方形の3660x3660・天井高さ2260で、これはモデュロールに則った寸法と言われている。日本の間で言えば「8帖」程の大きさであり、窓の位置、家具の位置、設備の位置は全て行動範囲を基準として決められている。 天井にも変化が加えられおり、窓の大きさからは考えられな程の眩しい光が室内に取り込まれていた。壁は板張りの仕上げ材をグリット割りした格子の額縁で見切り良く納められ、1つのアクセントとして見せている。 何も大きな窓を設けなくても、光は室内に取り入れられる。意味ある窓は本当に明るい日差しを導いてくれる。ベッドの下には収納が設けられ、壁の一部が緑色に塗装されたトイレには建具は無く赤いカーテンが間仕切りになる。 東側の壁にはサニタリーのコア柱が建ち、南向きに洗面ボールが設けられている。東側窓の窓枠にはフレスコ画が鎧戸として納められており、鎧戸を開けば仕事部屋と地中海の風景を取り込むピクチャーウインドウになる。 東北側の壁には横長の窓が、サイドテーブルの大きさと高さに合わせて置かれている。このサイドテーブルはベッド共、同じスケールを基本として出来ている。開口部から家具まで建築のスケールとして扱われている。 休暇小屋には思い入れが深く、パリの事務所で5人ものスタッフが携わり、計画案が完成するまでに6ヶ月も要している。19cmx4mの丸太を組み上げて出来た「8帖」の部屋には思い入れた情熱が機能を研ぎ澄まし、究極の家具配置により巳型の平面構成が決定された様である。この辺りの詳しいことは「ル・コルビュジェ/カップ・マルタンの休暇」(TOTO出版/ブルノ・カンブレト著/中村好文監修)を読むと面白いので、興味のある人・もう少し知りたい人は読んでみてください。 人気ブログランキングへ |
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