木と建築への旅〜高橋正勝のブログ

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zoom RSS 今は静かな安田講堂〜東京大学大講堂

<<   作成日時 : 2007/05/15 23:15   >>

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本郷通りから正門に入り、正面を見ると安田講堂が静かに佇んでいる。

銀杏並木通りを軸線にして、今でも東大のシンボルとして存在しているが、1969年から1991年に卒業式で使用されるまでの長い期間、閉鎖されていたことを知る学生は少ないかも知れない。それほどの静けさを今は見せている。正式名は東京大学大講堂であるが、安田財閥創設者・安田善次郎の寄贈で建設されたことにより安田講堂と呼ばれている。設計は東大建築学科・内田祥三教授が基本設計、教え子の岸田日出刀が担当し1921年(大正10年)に着工し、1925年(大正14年)に完成している(関東大震災と重なり工事中断の時期も有り)。

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正面から見ると時計塔を中心に左右シンメトリーになっている。構造は耐震性に考慮し鉄筋コンクリート造とし、外観は車寄せを思わせるエントランスポーチ以外は茶褐色(チョコレート色?)の煉瓦タイルで全面覆われている。

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1960年代の学生運動のシンボルとして連日テレビで放映されていた時計塔は、今、静かに時を刻んでいる。大講堂前の円形広場の地下は本郷で最大の中央食堂が有り、昼食時には学生や一般人で賑わいを見せている。

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エントランスポーチから正面玄関を見るが、扉は使用される時以外は開かず中に入ることは出来ない。およそ20年間の閉鎖期間を終えた1988年から1994年に掛けて始まった大改修工事が行われ、綺麗に蘇った扉である。

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南西側から見上げると時計台を中心に、高さを変化させてシンボル性を強調している。縦ライン(垂直性)とエントランスポーチの小塔アーチがゴシック様式を示し、この建築がその後のキャンパス・デザインの基準になっている。

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北西側からも南西側と同じような外観を見せているが、周辺環境により建築の見え方が変化している。正面から見ると時計塔を中心に垂直性を横に広げてみせているが、裏側(東側)では円形平面で講堂内の空間を創り出している。

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キャンパス内は巨大な樹木が数多く生息し建築を囲んでいる。北側から円形の外壁を見ようとするが、木々が覆って多くを見ることが出来ない。講堂内の4階席(最上階)の円弧に合わせた開口部から差し込む光は印象的である。

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子供の頃に訳も判らず、当時の学生たちが連呼する「安保反対!」を真似て言ったり、テレビ放映された安田講堂の攻防は、今でも、私にとって強烈なインパクトが残っている。
安田講堂事件の背景を調べてみると、1960年代後半の第二次安保闘争、授業料値上げ反対闘争、学園民主化闘争など、時を同じくして各大学で学園紛争が起こっていた。そして、全共闘学生たちと大学当局の団体交渉が決裂し大学構内バリケード封鎖へ動き、この学園紛争は全国の大学に波及し深刻な社会問題に発展したのである。そんな状況の中で、東京大学では医学部の学生が登録医制度反対(通称・インターン闘争)などを訴えた東大紛争が始まりのようで、研修医の曖昧な地位(医者でない医者・無給の身分と立場・指導の伴わない研修等)に対して、医学部学生たちが改善を大学当局に求めていたことが発端らしい。中々話し合いには成らず、闘争は激化し、安田講堂占拠、1968年の卒業式は中止、再度安田講堂占拠、機動隊導入等を契機に全学部の学生が反発し、最終的な攻防として、1969年1月18日の機動隊突入による安田講堂封鎖解除へ向かうのである。この封鎖解除には二日間も要している。未だに、研修医の過労・身分問題等で医学部のインターン制度の不備について色々な議論がなされ、最近、ようやく改善され始めようとしているが、闘争の始まりから既に40年余りの歳月が流れている。激動の時代を生き、垣間見て来た建築・安田講堂は今年7月6日、静かに82歳を迎えることだろう。建築の歴史はこの時代を生きた人々の歴史と平行し、新たな歴史を伝え続けるものではないだろうか、、、。

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